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6/8 00:51 UP! 究極の2択 KIRITO(キリト)(26)

KIRITO(キリト) 究極の2択
東京から富山にある実家まで自転車で帰ろうと誓い、夜中の2時に自転車を漕ぎ始めた。Googleマップによると実家まで約400km、徒歩3日とのことだ。自転車なら平均20km/hで漕げば20時間で到着するではないか。
全然行けるな。まあ60kmまでしか漕いだ事ないけど。
この安易な計画が僕を苦しめる事になるとはこの時の僕は知る由もない。
スタートは非常に好調だ。真夏ということもあり暑さだけが心配だったのだが夜中という事もあり涼しく快適なライドだ。人も車もほとんどいない。なんて最高なんだ。
気がつけば埼玉県に突入していた。嬉しい。自転車で県を跨いだのは初めてだった事に加え、今までの最高走行距離60kmを更新出来た事に歓喜した。
そんな順調と思えたライドも少しずつ雲行きが怪しくなってくる。勾配が徐々に出てきたのだ。山を越えないといけないことを完全に失念していた。というより山を自転車で超えるという事を完全になめていたのだ。ペダルを踏み込む力がさっきまでの比ではない。知らない間に自転車に重りでもつけられたのではないかと思い確認したがどうやら気のせいのようだ。
スタートしてから10時間以上が経過したが快適だったのはほんの数時間だけだった。
足がしんどすぎる。この傾斜はいつになったら終わるのだろうか。終わりが見えず心が折れそうになる。
なんだかんだで長野県に突入した。軽井沢を超えれば後は下るだけのはず。もう一踏ん張り。そう思い軽井沢へ向かう道を見て絶望した。傾斜がさっきまでの比ではないのだ。僕の目には角度が90度に見えた。失礼、90度はいいすぎた。ただそう言いたくなる程には急な坂だ。
後に父に聞いたところ軽井沢までは車でもしんどいらしい。
絶望感にかられ道の手前で立ち止まってしまった。
果たして身体とメンタルが保つのだろうか。そんな不安が立ち込める。
ただ気になる事が一つ。今進もうとしている道とは別の道が左にもあるのだ。車が一切通っていないのが気にはなる。しかし、ぱっと見傾斜はこっちの方が緩やかそうなのだ。Googleマップで確認したところどうやら少し迂回はするようだが同じ目的地には着きそう。
傾斜はきついが最短ルートか、時間はかかるが傾斜が緩い方か。
左に進むべきか右に進むべきか、今の僕にとっては究極の2択だ。
長考した末に僕は傾斜が緩やかな左を選択した。
この選択がこの旅1番の地獄の選択となる。
なんだか凄く不気味な道だ。道の脇には小屋のような建物がいくつかあり放置されてある道具の様子からも人がいた形跡があるにも関わらず相変わらず車が一台も通らなければ人の気配すらない。一体ここは何の道なんだ。
そんな奇妙な道に少し不気味さを感じたがここまで来たからには引き返すわけにはいかない。どれだけ進んでも奇妙な光景は変わらない。2時間ほど自転車を漕いでいるがいまだに車は通らない。ここに来て予感が湧いてきた。そしてそれは現実のものとなる。
道の先に看板が見えた。その看板の文字が目に入った瞬間に怒りが湧いてきた。
「この先道がありません」
ふざけるなぁ!
もう一度Googleマップを確認した。
道描いてあるやんけ!
だが現実には道がない。
おそらくここはもう使われていない旧道なのだろう。
Googleマップをこれ程憎んだ事がかつてあっただろうか、いやない。
結局もと来た道を戻り、傾斜が急な道へ進む事となった。

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