7/8 12:20 UP!
モザイクカケラその2
今は閉店した某繁華街のラブホテルでの話。
施術が終わり次のご予約までそこまで時間が無かったある日、親切にご贔屓様が提案してくださった。
「この後もお仕事でしょ?私は帰るけど部屋で休んでく?」
その言葉に甘えてご贔屓様を見送り部屋に残った。
その部屋の特徴はお風呂がとても大きく寝室と浴室の間に横長の小窓がある事だった。
風呂に入っている姿を寝室から見られるスケベな造りになっている。
逆に風呂から寝室を覗く事も出来るのだが…それが怖かった。
寝ている時にお風呂場から何かが覗いていたらどうしようと考えてしまう。
そうでなくても何か出てきたらどうしよう、物音がしたらどうしよう。
嫌な考えが頭をよぎる。
怪談話が好きだとか書いてるけど僕は怖がりだ。
お化け屋敷みたいな作られた怖さは平気なのだけど心霊スポットには絶対に行かない。
幽霊を本気で信じている、だからこそ遊びで心霊スポットに行っては行けないと知っているから。
寝ようと頑張った、疲れてるはずなのに不安と変な妄想が頭を駆け回ってなかなか寝付けなかった。
ラブホテル、構造上窓が塞がれて陽の光が入らない様になっているのはご存知の所だと思う。
せめて自然光を入れようと窓を塞いでるスライド式の扉を開いた、昭和チックなすりガラス越しに曇り空の鈍い光が部屋に差し込む。
少しだけ心が落ち着きうとうとし始めた頃だった。
部屋の天井隅に何か居る。
何か気配があると言った方が正しいかもしれない。
別に黒いモヤが見えるとか女の人がいるとか、そんなものでは無く。
嫌な気配が渦を巻いて漂っている感覚。
ソレが天井をゆらりゆらりと揺蕩いつつゆっくりとこちらに降下してくる。
そしてソレが寝ている顔の目の前に来た。
顔を覗き込まれた時を想像して欲しい、人の気配が眼前にある感覚。
僕は咄嗟に拍手をしようとした。
柏手(かしわで)とも言う、神社でお参りをする時や一本締め等めでたい時に拍手をすると思うが同時に魔を払う効果があるのだ。
が、体が動かない。
金縛りにあったのだ。
依然として目の前には嫌な気配が存在し続けている。
夢なのか現実に起きてる事なのかもうよく分からない。
僕は閉じた目を強く開く様に力を込めた、これが夢なら覚めて欲しかったから。
グッと力強く目に力を込め続けた。
しばらくして嫌な気配は消え体も動くようになった。
睡眠に入りかけた状態で色々考えてしまったから脳みそがバグを起こして嫌な夢を見たのか、それとも現実だったのかは分からないけどとにかくここに居たくなかった。
急いで部屋を出た。
こんな体験をしつつもしばらくはお仕事でその部屋を使う事も度々あったのだが、半年後に急に玄関に木のパネルが打ち付けられ【休業日します】と張り紙が貼られた。
こんなに長い文を書いておいてなんだけど、夢オチなのかもしれないし幽霊を見たわけでも無い。
眼前の気配も怖い事を考えすぎただけでただの気のせいかも知れない。
でも一つだけ。
金縛りには二種類ある。
体が極限に疲れている時に起きる金縛りの特徴として周りの景色がぼんやりと見えるらしい。
科学的に金縛りの正体と言われているものはこれ。
だが本当にやばい金縛りは逆に視界が鮮明に、周りの景色がはっきりと見えるとの事。
僕は後者だった、夢が現実か分からないけど。
それだけは間違いなかった。
施術が終わり次のご予約までそこまで時間が無かったある日、親切にご贔屓様が提案してくださった。
「この後もお仕事でしょ?私は帰るけど部屋で休んでく?」
その言葉に甘えてご贔屓様を見送り部屋に残った。
その部屋の特徴はお風呂がとても大きく寝室と浴室の間に横長の小窓がある事だった。
風呂に入っている姿を寝室から見られるスケベな造りになっている。
逆に風呂から寝室を覗く事も出来るのだが…それが怖かった。
寝ている時にお風呂場から何かが覗いていたらどうしようと考えてしまう。
そうでなくても何か出てきたらどうしよう、物音がしたらどうしよう。
嫌な考えが頭をよぎる。
怪談話が好きだとか書いてるけど僕は怖がりだ。
お化け屋敷みたいな作られた怖さは平気なのだけど心霊スポットには絶対に行かない。
幽霊を本気で信じている、だからこそ遊びで心霊スポットに行っては行けないと知っているから。
寝ようと頑張った、疲れてるはずなのに不安と変な妄想が頭を駆け回ってなかなか寝付けなかった。
ラブホテル、構造上窓が塞がれて陽の光が入らない様になっているのはご存知の所だと思う。
せめて自然光を入れようと窓を塞いでるスライド式の扉を開いた、昭和チックなすりガラス越しに曇り空の鈍い光が部屋に差し込む。
少しだけ心が落ち着きうとうとし始めた頃だった。
部屋の天井隅に何か居る。
何か気配があると言った方が正しいかもしれない。
別に黒いモヤが見えるとか女の人がいるとか、そんなものでは無く。
嫌な気配が渦を巻いて漂っている感覚。
ソレが天井をゆらりゆらりと揺蕩いつつゆっくりとこちらに降下してくる。
そしてソレが寝ている顔の目の前に来た。
顔を覗き込まれた時を想像して欲しい、人の気配が眼前にある感覚。
僕は咄嗟に拍手をしようとした。
柏手(かしわで)とも言う、神社でお参りをする時や一本締め等めでたい時に拍手をすると思うが同時に魔を払う効果があるのだ。
が、体が動かない。
金縛りにあったのだ。
依然として目の前には嫌な気配が存在し続けている。
夢なのか現実に起きてる事なのかもうよく分からない。
僕は閉じた目を強く開く様に力を込めた、これが夢なら覚めて欲しかったから。
グッと力強く目に力を込め続けた。
しばらくして嫌な気配は消え体も動くようになった。
睡眠に入りかけた状態で色々考えてしまったから脳みそがバグを起こして嫌な夢を見たのか、それとも現実だったのかは分からないけどとにかくここに居たくなかった。
急いで部屋を出た。
こんな体験をしつつもしばらくはお仕事でその部屋を使う事も度々あったのだが、半年後に急に玄関に木のパネルが打ち付けられ【休業日します】と張り紙が貼られた。
こんなに長い文を書いておいてなんだけど、夢オチなのかもしれないし幽霊を見たわけでも無い。
眼前の気配も怖い事を考えすぎただけでただの気のせいかも知れない。
でも一つだけ。
金縛りには二種類ある。
体が極限に疲れている時に起きる金縛りの特徴として周りの景色がぼんやりと見えるらしい。
科学的に金縛りの正体と言われているものはこれ。
だが本当にやばい金縛りは逆に視界が鮮明に、周りの景色がはっきりと見えるとの事。
僕は後者だった、夢が現実か分からないけど。
それだけは間違いなかった。